バレエに必要なスキルを磨ける

バレエというと片脚で立ち、もう一方の脚を後ろに伸ばす「アラベスク」、回転を連続して行う「グランフェッテ」、脚を打ち合わせながらジャンプする「カブリオール・ドゥヴァン」などがよく知られています。バレエダンサーが高度な技を習得するためには、基礎体力をつけて身体の土台作りをしっかりと行うことが必要不可欠です。
バレエトレーニングにピラティスが選ばれている理由は、エクササイズを通してバレエに必要な要素を身につけることができる点です。
バレエで求められる要素には次のようなものがあります。

・柔軟性

美しく、しなやかな動きには柔軟性が必要です。ゆっくりとした動きのピラティスは筋肉をしなやかにし、関節の可動域を広げることができるので、柔軟性を高めるのに役立ちます。

・体幹

柔軟性があっても体幹が弱いと、基礎的なポジションの「アンデオール」さえできません。また、体幹が鍛えられているとジャンプや回転が安定し、長時間踊れるようになります。

・バランス力

つま先立ちをするバレエは、バランス力がないと踊っている間に転倒してしまいます。ピラティスはバランス力を高めるのに必要な平衡感覚を鍛えるのに効果的です。

怪我の予防になる

バレエは激しい動きをするため、バレエダンサーの中には「捻挫」「アキレス腱炎」「中足骨疲労骨折」などの怪我に悩まされる方も少なくありません。ピラティスを取り入れて身体の土台を作ることで、怪我のリスクを軽減できます。また、ピラティスはもともとリハビリに役立つエクササイズとして開発されているので、万が一、怪我をした際のリハビリとしても最適です。

インナーマッスルの強化

ヨガとピラティスはよく比較されますが、そもそも目的が異なります。ヨガは呼吸とポーズを合わせたトレーニングで、身体と心の安定が目的です。一方、ピラティスは身体の機能を改善するために開発されたエクササイズという点で違いがあります。
ピラティスでは身体を鍛えることを重視しており、特にインナーマッスルを鍛えるのに向いています。インナーマッスルとは、「腹横筋」「腸腰筋」「骨盤底筋」「多裂筋」「ローテーターカフ」などが代表的で、全身にあります。バレエトレーニングにピラティスを取り入れると、これらの筋肉を効率よく鍛えることが可能です。インナーマッスルを鍛えることは、体幹筋を鍛えることにつながります。

股関節の柔軟性の向上

一般的に股関節が開く角度は約90度ですが、訓練次第で約180度まで開かせることが可能です。しかし、無理に180度開こうとして誤ったトレーニングを続けると、靭帯を傷めたり、股関節の痛みで歩行が困難になったりするおそれがあります。ピラティスには股関節を柔らかくするエクササイズがあり、このエクササイズを続けることで股関節の柔軟性を無理なく高めることができます。

メンタルヘルスのケア

バレエの世界は競争が激しく、常にプレッシャーに晒されています。そのため、呼吸法を習得して、精神の安定を図ることも重要です。ヨガは腹式呼吸ですが、ピラティスの呼吸法は「ラテラル呼吸」をベースにしています。酸素を多く取り込める呼吸法のため、リフレッシュ効果が高まります。